西陣爪掻本つづれ名古屋帯『貝合わせ』
西陣爪掻本つづれ織
名古屋帯『貝合わせ』
今年の桃の節句は、北陸地方に継承される「孫渡し」をご紹介したいと思います。
福井県北部には、昔から「孫渡し」という風習があります。孫が生まれると、祖父母が赤ちゃんに必要な品や、縁起物などを贈ることをいいます。「三世帯ともにくらす」そのことが普通につづくとても良い環境。。。
もともとは娘が出産のために実家で過ごし、1カ月ほどして孫とともに嫁ぎ先に帰ることを指しました。その際、贈り物をたくさん持たせたことが由来です。正確な起源はわからないものの、少なくとも江戸時代には行われていたといいます。そのため、この地方の多くの家では、女の子の孫に贈られた立派なひな人形が、代々受け継がれているそうです。この地方では、天神様・お雛様・かぶとは節句の際には時期に遅れることなく家族皆でおまつりするとても大切な行事です。
実家から送られて、遺されたひな人形は、多くの人が孫を愛し、幸せを願っていたことの証しといえます。同県大野市では、毎年「春を彩る越前おおのひな祭り」が開催され、このような古いひな人形を預かり、展示しています。飾られることが少なくなったひな人形を、楽しんでもらおうという趣向です。昨年は感染症予防のため会期が短縮されましたが、多くの家族連れが訪れたといいます。あなたの祖父母も、幸せを願って愛情を注いでくれたはずです。そのことに感謝し、親から子への想いを受け継いでいきましょう。